開催概要はこちらをご覧ください。
特定非営利活動法人地域水道支援センター(CWSC)は、2006年、地域の小さな水道を支援すること、自然に備わった原理を活かす緩速ろ過(生物浄化法)を研究し、広めることなどを通して社会に貢献することを目的に設立、活動してきました。
今、世界の7億8500万人の人が、安全な水が身近になく、川、湖、整備されていない井戸などから水を得ています。
この状況は気候変動によってさらに悪化すると予測されています。これまで使用していた水源が枯渇し、水くみの時間がより長くなるケースも考えられます。そのために働く時間、学校に行く時間がなくなり、より深刻な貧困に陥ります。洪水によって水源が排泄物によって汚染され病気がひろがり、海面の上昇で地下水が塩水化することも考えられます。
こうした国々や地域に給水設備を普及させることが急務です。ただし、それぞれの地域の環境や経済状況に応じた持続的な技術や方法であることが肝心です。貧しい村落ではローコストであること、日頃のメンテナンスが容易であることなどが重要になります。
SDGsで水といえば目標6ですが、「貧困をなくす」(目標1)には水が必要ですし、食糧(目標2)も健康(目標3)も水がベースになります。給水設備ができれば、子供たちは水くみの仕事から開放され、教育の質向上(目標4)にもつながります。
そこで、CWSCでは前年に行なった「緩速ろ過/生物浄化法セミナーオンライン連続講座2020/第2回『小規模水道のつくり方 海外編』に続いて、2021年8月28日に「SDGs6達成へ向けた『水』の国際貢献と小さな水道」をテーマにオンラインセミナーを開催いたしました。
特定非営利法人ウォーターエイドジャパン事務局長 高橋郁さんより「途上国の水とトイレの課題を考える: NGOウォーターエイドの活動」のテーマで公演していただきました。
高橋郁さんプロフィール:
ロンドン大学東洋アフリカ研究所にて開発学修士号取得。緊急支援 のNGO、教育関連企業勤務を経て、2012年7月にウォーターエイドに入職。事務局長として、特定 非営利活動法人ウォーターエイドジャパンの設立に携わる。ファンドレイズ、広報、アドボカシー等、幅広い業務に従事。
次に、具体的な支援の事例を一般社団法人名古屋環未来研究所理事 伊佐治知明さんより、「カンボジア・シェムリアップ州の村落における生活衛生改善のための家庭用浄水器」というテーマで講演していただきました。
伊佐治知明さんプロフィール:
名古屋市上下水道局在籍中から、メキシコ市水道水質管理プロジェクト、スリランカ緩速ろ過浄水場フォローアップ支援、課題別研修上水道無収水量管理対策などのJICA事業を実施してきた。今回紹介するカンボジアの案件は、草の根協力支援型で実施したもので、現在同地域でパートナー型を準備中である。
登壇者:第1部で講演を行なってくださった高橋さんと伊佐治さん
ファシリテーター:橋本淳司(NPO法人地域水道支援センター理事、水ジャーナリスト、武蔵野大学客員教授。主著に『水道民営化で水はどうなる』(岩波書店)など)
第2部では短い時間でしたが知見を共有する有意義な時間を持つことができました。会の最後に、参加者の皆さんへ感想や今後開催を希望するテーマなどのコメントをお願いしたところ、途上国への支援のアプローチ手法について学べ有意義であったという声や、今後緩速ろ過の活用をさらに広める方法、生物浄化装置への興味の声をお聞かせいただけました。 お忙しい中、ご参加くださった皆様、また協力くださった皆様に心よりお礼を申し上げます。
本セミナーの第二回目は2021年10月23日に国内の「水道を小さくする、水道に市民が参加する」をテーマに開催予定です。
水道産業新聞(2021年10月4日)に今回のセミナーについて掲載されました。