第三回 2023年1月13日開催 ~ 脱炭素・人口減少時代の持続可能なインフラ技術セミナー2022 [全3回]~
花巻市の山間水源における〈粗ろ過・緩速ろ過実証実験〉の成果報告
「緩速ろ過」とは、自然界の水生微生物による分解活動を利用した伝統的な浄水技術です。近年、同じく水生微生物の働きによって源水の濁りなどを除去する「粗ろ過」という前処理を組み合わせることにより、水道水の基準を満たす飲料水が得られることが明らかになってきました。この〈粗ろ過・緩速ろ過〉技術は、薬品や電力も必要とせず、ろ過時に発生する汚泥もわずかなことから、環境負荷・エネルギー消費量・コストの小さい技術として、今注目されています。すでに、アジアやオセアニアの途上国のほか、岡山県や大分県の公的な水道が未普及だった地域でこの粗ろ過・緩速ろ過技術を使った小規模な飲料水供給施設が建設され、稼働しています。
2017年、花巻市の山間にある水道施設でこの粗ろ過・緩速ろ過システムを用いた“実証実験”がスタートしました。この実験は、2014年に岩手県内の4つの水道事業体が統合して生まれた「岩手中部水道企業団」と、ろ過材メーカーの「株式会社トーケミ」、法人発足当初時から各地の粗ろ過・緩速ろ過(生物浄化法)施設の設計・維持管理技術支援を行ってきた「NPO法人地域水道支援センター」、そしてこの浄水法での微生物の働きを分析する「麻布大学」の研究者の4者による共同実験で、水源地に粗ろ過・緩速ろ過の実験設備を新設し、3か年にわたり、水道水基準に適合する除去性能が確保できるかなどを検証しました。浄水過程での微生物の働きも初めて明らかになりました。
本実証実験の結果はこれまで学会や内部発表でのみ行われましたが、今回初めて3連続セミナーとして広く公開します。持続可能な浄水技術にご関心を持つ方々の参加を期待しています。
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講師 大河内由美子氏(麻布大学 生命・環境科学部 環境科学科教授)
瀬野守史(NPO法人地域水道支援センター理事、技術士〈総合技術監理、上下水道:上水道及び工業用水道〉)
最終回は、大河内氏より本実証実験の粗ろ過・緩速ろ過システムにおける微生物量の測定、どんな微生物が存在したのか、微生物の働きなどについて微生物学的観点に基づいて得られた知見を報告していただきます。
最後に、NPO法人地域水道支援センターで手がけたこれまでの粗ろ過・緩速ろ過(生物浄化法)の他の実証実験ほか技術支援・コンサルタント業務を担当してきた瀬野理事が本実証実験の総合的な成果を報告します。また、参加者からセミナー3回分を通した質問などにも答えます。
一般5000円、学生2000円、当NPO会員3000円
※終了後1週間、講義の録画をご覧いただくことができます。
※1回分の金額です。
14:00-14:10 主催者挨拶とガイダンス
14:10-15:10 講師による講演「粗ろ過・緩速ろ過の実験設備とはどんなもの?建設から運用まで3年間の苦闘」
〇粗ろ過・緩速ろ過システム実証実験の成果は? 浄水過程での微生物の働き (講師:大河内由美子氏(麻布大学))
〇本実証実験の総合的な成果報告 (講師:瀬野守史(地域水道支援センター))
15:10-15:55 質疑応答と意見交換
15:55-16:00 主催者より事務連絡
(モデレーター 三田克征〈地域水道支援センター常務理事〉
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