このたび脱炭素、人口減少時代に対応可能な「持続可能な水インフラ技術」として「緩速ろ過(かんそくろか)法」と「傾斜土槽(けいしゃどそう)法」の概要と実装例をオンライン講座で学ぶセミナーを開催いたします。サスティナブルな水インフラ技術に興味ある方などに、広くご参加いただけましたら幸いです。
緩速ろ過法(生物浄化法)についての講師は、CWSC理事でもある中本信忠(信州大学名誉教授)氏です。中本氏は、長年の緩速ろ過研究からこの浄化法が生物群集の機能によるものであることに注目し「生物浄化法(Ecological Purification System)」と名付けました。
この方法を用いた浄水施設は、建設費用があまりかからずメンテナンスも簡便であることから開発途上国の集落での安全な水供給に適しており、中本氏自身が専門家としてサモア、フィジーでの村落給水施設設置事業に貢献してきました。また、CWSCでは日本国内の水道未普及地域でこの原理を用いた小規模水供給施設の設置や維持管理に技術支援を行っています。「生物浄化法による安全な飲料水の普及」は「第21回日本水大賞」の「国際貢献賞」を受賞しています。
一方、傾斜土槽法の講師・生地正人(株式会社四電技術コンサルタント)氏は、この浄化法の開発者です。傾斜土槽とは、底面が傾斜した薄層構造体に担体(吸着や触媒活性を示し、他の物質を固定する土台となる物質のこと)を充填したもので、これを用いた水質浄化法が傾斜土槽法です。
生地氏によると、浄化に必要な滞留時間がきわめて短く、浄化時間を大幅に短縮できる大きな利点があるといいます。バングラディシュの無電化村に設置して重金属類で汚染された井戸水の汚染物質の除去に成功し、村で初めて白いご飯が炊けたと喜ばれた事例、スリランカではBOD30mg/L の原水が浄水可能なことを実証した事例、国内では香川県畜産試験場での実証試験の例が紹介されます。
これら2つの浄化法ともに生物群集の働きを活用し、低コストでエネルギー不要、維持管理も簡易である点が共通しています。持続可能なインフラに適用できるこれら2つの技術の原理と現場への適用法を学びます。
主催:特定非営利活動法人 地域水道支援センター
<日時>2021年12月10日(金)13時~15時30分
<場所>オンライン(Zoomで行います。イベントの前日の12月9日(木)に、参加申込された方へZoom会議室のURLを送信します。)
<参加費>5000 円(当NPO会員3000円)/学生2000円
※当日ご参加いただけなかった場合、終了後1週間、講義の録画をご覧いただくことができます。
13:00-13:10 セミナーガイダンス
13:10-14:00「生物浄化法で安全でおいしい水道水をつくる」中本信忠(NPO法人地域水道支援センター理事。信州大学名誉教授、理学博士)
14:00-14:50「傾斜土槽法(陸上斜面の自浄作用を利用した水質浄化法)のメカニズム」生地正人(株式会社四電技術コンサルタント)
14:50-15:30 ディスカッション
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